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舞の海秀平さん講演会

6月5日(水)午後、(一社)長野法人会の通常総会で行われた、NHK大相撲解説者(元小結)・舞の海秀平さんによる記念講演「可能性への挑戦」を聴講しました。
NHKの大相撲解説もわかりやすいと好評ですが、今回の講演も、数分に一度は笑いが起き、聴衆を飽きさせない、楽しい90分でした。
それは、
“悩む人は体を壊す。真面目すぎる人が悩む。笑うことは体にいい。なにか笑えることを探して、ちゃらんぽらんな人生を!”
という講演をしめくくった言葉にも表れていました。

〇山形県の高校教師の内定が決まっていたが、後輩の急死を契機に角界入りを決意したこと
〇当時の新弟子検査基準の身長(173cm)に足りず(168.5cm)、頭にシリコンを入れたという、有名な痛~いエピソード
〇巨漢のハワイ勢(曙・小錦・武蔵丸)に立ち向かうため、小柄な体を活かして繰り出した技(三所攻め)の誕生秘話
〇最初の新弟子検査で不合格にした柏戸、二度目の検査で合格にした北の湖、そして恩師・出羽の海親方の人柄
“学者は頭を痛めて努力する。サラリーマンは心を痛めて努力する。力士は体を痛めて努力する。”(親方の言葉)
〇引退後、タレントとして出演するテレビ番組の裏話!
など、実体験に基づいたお話はどれも具体的で、根底に、あたたかい人とのつながりが感じられました。

特に、「相撲は純粋にスポーツといえるか?」というテーマ。

  • 時代が変わり、マスコミも世間も、相撲を、勝つか負けるかのスポーツとして捉えているけれど……
    ・「柔道」「レスリング」は厳格に体重別だが、相撲は小さい人も大きい人も同じ土俵に立つ。
    ・「野球」「サッカー」などは基本的には審判が絶対だが、行事は土俵下の勝負審判から物言いがついて「行司差し違え」で覆る。
     但し、ビデオ判定は、他のスポーツにさきがけ、相撲は昭和44年に導入している(大鵬の連勝がかかる大一番での誤審が契機)。
    ・競技開始にあたる立ち合いは、力士同士の阿吽の呼吸で立ち、「陸上」のようにフライングで失格はあり得ない。
    ・五穀豊穣を願い、神々の加護に感謝する”神事相撲”として平安時代に始まった歴史を踏まえながら、江戸時代の興行形態を継承。
    ・力士は柏手を打ち、両手を広げてから四股を踏み、力水で口をすすいで身を清め、十両以上は清めの塩で土俵上の邪気を祓う。
    江戸時代のヘアスタイル・ちょんまげを地毛で結ってるのは、相撲取りだけ。歌舞伎などはみなカツラ。
    など、相撲は独特。
    相撲に、矛盾や曖昧さが残るのは、純粋にスポーツと言い切れない、伝統芸能・神事の意味合いがあるからではないか。

“相撲には歴史・文化・神事・競技など様々な側面があり、それぞれ奥深い要素を持っています。”
“土俵入り、番付表、化粧廻し、髷、着物、相撲の取組。江戸時代と変わらぬ姿を、すぐそこで見ることができる大相撲。”
(日本相撲協会HPより)

先日、実に30年ぶりに、両国国技館で五月場所五日目の大相撲を観戦しました。
郷土力士の御嶽海は、この日、大きな逸ノ城相手に堂々とした取り口で白星を挙げました。
舞の海さんが講演会で奮起を促したように、朝乃山の優勝、大関・高景勝などに刺激を受けて、ぜひ上を目指してもらいたいですね。[YT]

2019年06月10日