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身近な鳥❶ヒヨドリ(鵯)

一昨年の酉年にちなんで「野鳥と温暖化」について、日本野鳥の会長野支部長・小林富夫さんに取材させていただいた際、
「雪が降ると鳥たちはエサをとるのが難しくなりますので、リンゴひとつでも庭に置いてみてください。」
と仰られたのが印象的で、以来、我が家では、余ったご飯🍚はふやかして、猫の額ほどの小さな庭に、撒くようにしています。
するとーーー
“鳥の目”の良さには本当に感心させられますが、あっという間にスズメが集まってきて、ついばみます。
窓越しに微笑ましく覗いていると、平穏なモグモグタイムを乱しにやって来るのが、そう、ヒヨドリなのです!
「ピィーッ、ピィーッ」と大声を出し、バサバサとはばたいてスズメたちを蹴散らし、ご飯を独り占め。
近くの樹々や電線に避難したスズメは、隙を見ては舞い降りて、邪魔にならないように食事を再開するものの、
ヒヨドリのご機嫌次第では、また追い払われてしまいます。その繰り返し…。

ヒヨドリは、花の蜜も好物で吸いに来ますが、嘴のサイズが合わないのか、単に不器用なのか贅沢なのか、花ごと落としてしまったりで、
ガーデニング愛好家からも煙たがられる存在です。果樹を食害する農業害鳥として”狩猟鳥”の指定も受けているとのこと。

でも、私はヒヨドリが憎めません。
全体的にグレーなボディは地味かもしれないけれど、ボサボサヘアーも、赤いほっぺたも、世話の焼ける息子みたい。
よく見ればお腹の模様もツグミのように綺麗です。
平安時代には貴族たちがこぞって愛玩し、飼っているヒヨドリを披露しあって鳴き声の優劣を競う「鵯合わせ」も行われたそう。

源平合戦・一の谷の戦いで有名な「鵯越」(ひよどりごえ)は、元々渡り鳥だったヒヨドリが毎年急斜面を越えるために付いた地名とか。
それにしても、ヒヨドリ(鵯)は漢字まで「卑しい」「鳥」と書いてかわいそうになりますが、
これは、ヒヨドリの語源が、「ヒーヨヒーヨ」という鳴き声説の他、「ヒエ(稗)ドリ」から転じたという説に関係するようです。

グイ―ングイーンと波形状に飛ぶ姿もやんちゃな鳥です。[YT]

〇鵯(ひよ)どりの朱の一刷(ひとは)けの頬も秋 (三好達治)
〇鵯(ひよどり)の 来るも 去るも あはれかな (三好達治)
〇鵯の声 去りてもゆらぐ 梅もどき (水原秋櫻子)
〇鵯の こぼし去りぬる 実の赤き (与謝蕪村)

👆写真は「森の父さん花鳥風穴」、イラストは「みさきのイラスト素材」より

2019年02月08日