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冬の鳥❹真っ赤なウソ(鷽)!

正確には、渡り鳥の「冬鳥」ではなく、高山から冬になると低地へと下りてくる「漂鳥」です。
私が初めて見たのは、数年前、朝日山観音にお参りに行ったときのこと。
ヒューヒューという聞きなれないかすかな鳴き声をたどると、木に群れでとまっていました。(写真)
オスの首のピンク色が得も言われぬ美しさで、黒・グレーとの組み合わせが、甘すぎない上品さを醸し出し、目が離せませんでした。
それから程なくした朝、我が家の小さな庭の梢に訪れ、娘が「ピンク色の鳥が来てる」と小声で教えてくれました。

名前の由来は、「口笛」を意味する古語「うそ」から来ており、口笛のような鳴き声を発することから付けられたそうです。
江戸時代には「弾琴鳥」や「うそひめ」とも呼ばれたのだとか。
ピンク色が特徴的なオスは「照りウソ」「赤ウソ」とも。”真っ赤なウソ”はオスだけだったのです……!

また、ウソといえば各地の天満宮で行われる「うそ替え神事」も有名。
菅原道真が蜂に襲われたときにウソの大群が飛んできて助かったという伝承、また「鷽」の字が「學」に似ていることから、
学問の神様である天神様との縁が深くなった、と考えられています。
凶事を「ウソ(嘘)」にして吉事に「取り(鳥)」替えるとして、木鷽を毎年取り替える習わしです。
開運のお守り・木鷽、手に入れたいものです。

そんなウソをこよなく愛し、「紅梅の花にも負けない美麗さと風格とのある鳥」と絶賛したのが、高村光太郎。
鳥屋さんで買ってきたオスのウソを描写した随筆「木彫ウソを作った時」からは、彫刻家ならではの鋭い観察力にうならされます!
☞「木彫ウソを作った時」は青空文庫で読めます。

光太郎自身、毎日懐に入れて持ち歩き、智恵子も気に入っていたという木彫のウソ。
こちらもぜひ実物を見てみたい。[YT]

2018年03月14日