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善光寺七寺めぐり(安茂里編)

長野郷土史研究会主催で、善光寺四十九霊地の「七寺(院)」のうち、安茂里地区にある2か寺を拝観するイベントに参加しました。
☞くわしくはこちら(ブログ「小林玲子の善光寺参道日記」)
日頃マイカーでせかせか運転している国道19号線も、今日は路線バスでのんびり旅行気分、景色まで違って見えるから不思議です。
🚏「無常院」下車、細い坂道を下りると立派なお寺が!

❶無常院(安茂里小市)◎浄土宗
正式名称は「菩提山無常院南泉寺」、鎌倉時代中期の銅像阿弥陀如来一光三尊像(長野市指定有形文化財)を安置しています。
この日はあいにく長野市立博物館に出張中で拝観できませんでしたが、善光寺御本尊の分身仏四十八体のひとつと伝えられているそうです。
 ※お姿は、長野市ホームページ「長野市文化財データベース デジタル図鑑」でご覧になれます。
ご住職から、お寺の来歴や宝物について、さらには、先の神城断層地震で大変な被害が出たことなど、詳しくお話を伺いました。

境内には中見堂大悲殿があり、馬頭観世音菩薩が祀られています。
子どもが大好きな観音様が、中から子どもの様子が見られるように、ガラス張りになっているという、微笑ましいエピソードも。

ふたたび路線バスに乗り込み、🚏「安茂里大門」から坂道を登ります。
この日は真夏日で、少し歩くだけで汗ばむ陽気。
近所に住んでいる私は、「こんなところに”正覚院”という名刹、あったかしから?」と訝しく思いながら、たどり着いた所は……
仁王門も、急勾配の階段も見覚えのある、何度もお祭りに子どもを連れてきた”窪寺(久保寺)観音”でした!

❷正覚院(安茂里大門)◎真言宗
正式名称は「慶紫山正覚院月輪寺」、今回初めて左手の本堂にあがらせて頂きました。
本堂には、大本願のお上人様をお迎えする上段の間が設けられ、お上人さんをお乗せする駕籠もありました。
『天地明察』を彷彿とさせる江戸時代の算額、平安時代ともいわれる弘法大師像の掛け軸など、見どころ満載!
気さくなご住職の説明もとても興味深かったです。

さらに、普段は閉じている扉を開帳いただき、木造伝観音菩薩立像(県宝指定)を拝観しました。
※お姿は、こちらも長野市ホームページ「長野市文化財データベース デジタル図鑑」をご覧ください。
木製の案内板には、
「造立は藤原時代(10-11世紀頃)、六尺の像身と一木から掘り出し、正面して前方を直視するすがたが、まことに堂々として古い様式を伝え、肉どりも厚くひきしまり、すぐれた作品である。埴科郡西条清水寺の諸像につぐ県内の古像の一である。」
と書かれています。

窪寺観音には観音堂も2つあり、仁王門に近い月光殿(下堂)には聖観音像、石段を登った円通殿(上堂)には千手観音像がまつられています。

また、同寺は芸術家・池田満寿夫のご両親の菩提寺。
満寿夫自身のお墓は熱海市の医王寺にありますが、両親の眠るここ正覚院の墓地にも分骨されています。(全く知りませんでした!!)
「満寿院叡彩心酔大居士」という戒名が、いかにもマルチな才能を発揮した芸術家らしい。

山の静寂のなか、ウグイスのさえずり声だけが響きわたり、ときおり吹き抜ける風も爽やか……
お堂の縁側をお借りして腰掛けながら、改めて地元のよさを噛みしめました。[YT]

2018年06月20日