先日(11/14-15)の「中部ブロック推進員・センター合同研修会」(福井)の基調講演は、京都府地球温暖化防止活動推進センター事務局長・木原浩貴氏による「いいね!が広がる温暖化防止活動」でした。
そのなかで紹介されたのが、大阪大学准教授 松村真宏著『仕掛学 人を動かすアイデアのつくり方』。
早速読んでみました。
「ついしたくなる」仕掛けの例がふんだんに写真で掲載されていて、ページをめくるたびにクスリと笑わされたり、おー!っと驚いたり。
背表紙が続き絵になっていると、たくさんの巻数の本(掲載写真は『ドラゴンボール』でした)でも簡単に順番に並べて整頓できる、
ゴミ箱の上にバスケットゴールがついていると、ゴミをゴミ箱に入れるのが楽しくなる・・・…。
(そういえば、娘の貯金箱は銀行のATMを模した形で、お金を貯めるのに功を奏していました。)
目覚まし時計ではなかなか起きられなくても、ホームベーカリーのタイマーをセットしたときは、とてもいい匂いがするし、焼きあがり後すぐ取り出さないとパンが縮んでしまうので、頑張って起きた経験が、私にもあります。(これも”仕掛け”に入ります。)
読んでいて思い出されたのが、「COOL CHOICE LEADERS AWARD 2017」で「コロンブスの卵賞」を受賞した、
宇都宮大学 地域デザイン科学部 助教 糸井川高穂氏の「思わず消しちゃう照明スイッチ」。
☞作品はこちら(COOL CHOICE ホームページ)
「正論を投げかけるだけでは省エネ意識の高くない人たちの行動は変えられません。(中略)人々に省エネ対応を訴えることなく、自然に省エネ行動へ促せる点がこのシールの特徴です。」と受賞のコメントにありますが、
前述の本の中にも、「「した方がよい」と直接伝えても効果がないことは明らかなので、「ついしたくなる」ように間接的に伝えて結果的に問題を解決することを狙うのが仕掛けによるアプローチ」と書かれていました。
基調講演で木原さんは、気候変動に関する科学的解明が進んでも社会的重要性が高まらない「心理的気候パラドックス」について、遠いところの話だと思って遠ざけたり、”未来”の命より”今”の経済を優先したり、”やりたい”けれど”しんどいことが起きた場合、大したことではないからやらなくて大丈夫、と認識を変えてしまう傾向(=認知的不協和)が人にはあったり、といった様々な要因がある、と話されました。
そして、日本では「気候変動対策」を「多くの場合、生活の質を脅かす」と捉える人が6割にものぼり、世界平均(約25%)を大きく上回るけれど、断熱性を高めたエコ住宅で病気が減らせるように、エコは決して我慢を強いるものではないことを伝えて、広げていきましょう!と呼びかけ、参加者一同大きくうなずき、賛同したのでした。[YT]