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身近な鳥●カラスの大群

長野駅の線路上、黒い影はすべてカラスです。
きのこの料理教室の日(2/17)の夕刻、空を見上げると、四方八方から、夥しい数のカラスが長野駅に向かって大集結していました。
ヒッチコックの『鳥』を出すまでもなく、やはり黒い鳥の大群は恐ろしい😱
日本野鳥の会の方に、
「スズメと違って、カラスという名の鳥はいません。よく見られるのは、ハシブトガラスかハシボソガラスのどちらか。」
と教わりました。イラストはハシボソ(嘴細)の方ですが、鳴き声の高さからも、大群はハシブトガラス(嘴太烏)と思われます。

烏(からす)とふ 大(おほ)をそ鳥の まさでにも 来まさぬ君を ころくとぞ鳴く(万葉集 巻十四 東歌)
[現代語訳]
カラスという大慌て者(大軽率鳥)が、本当はいらっしゃってもいないあの方を、「児ろ来」(恋人が来たよ)と鳴いて教えるから、
私は期待するけれど、裏切られてさびしい思いをします。

カラスの鳴き声を「コロク」と聞きなすのは、カラスの英名「crow」や、鳴き声「croak」(クロウク)に似ています。

『枕草子』では、第1段「春はあけぼの」に、「秋は夕暮れ」の項で登場し、有名です。

○夕日のさして、山の端いと近くなりたるに、の、寝所へ行くとて、三つ四つ二つなど、飛び急ぐさへ、あはれなり。
[現代語訳]
夕日が射して山の稜線に沈もうとしているところに、烏がねぐらへ帰ろうとして3~4羽、2~3羽と、飛び急ぐのさえ、しみじみとした情がある。

数が少なければカラスも風情があるというもの。童謡に歌われるように、夕日にカラスは今も定番です。

一方、第97段「あさましきもの」には、

○かならず来なむと思ふ人を、夜一夜起き明し待ちて、暁がたに、いささかうち忘れて寝入りにけるに、
のいと近く、かかと鳴くに、うち見上げたれば、昼になりにける、いみじうあさまし。
[現代語訳]
必ず来るだろうと思うあの方を、一晩中、起き明かして待って、明け方になって、ふと忘れて寝入ってしまったところ、
烏がとても近くで「かか(カーカー)」と鳴くので、空を見上げたら、もう昼になってしまっている、というのは、とても情けない気持ちがする。

とあり、前述の万葉集の歌と近い状況です。
想い人を待つ身には、カラスのうら哀しい鳴き声が、現実を突き付けてしまうんですね。[YT]

2020年02月25日